ガスト、バーミヤン、しゃぶ葉、ジョナサン、そして資さんうどん。すかいらーくホールディングス(3197・東証プライム)の株主優待は、こうしたグループの店で使える食事券です。6月末と12月末の年2回、100株なら年4,000円分が届きます。
この優待は2020年に大きく減りました。いわゆる改悪です。それから6年がたちましたが、優待の額面は1円も戻っていません。一方で株価は約2倍になり、100株の優待利回りは改悪前の3分の1近くまで下がっています。
この記事では、改悪前・改悪直後・今の3時点を並べて、この6年で何が変わって何が変わらなかったのかを整理します。そのうえで、今この優待を持つ理由があるのかを考えます。私はまだ保有しておらず、買うかどうか検討している立場です。
12月に権利が確定する優待60銘柄を「12月28日に買ったら、初回はいつ届くか」で分けた一覧は、2026年12月の株主優待まとめにあります。
- 今の優待:6月末・12月末に電子チケット
- 2020年の改悪:額面は半分前後に
- 6年間で変わったこと、変わらなかったこと
- 利回りは6年で3分の1近くに
- それでも100株がいちばん濃い
- 配当は無配から27円へ
- 業績:既存店が伸びて上方修正
- 12月28日までに買えば3月に届く
- 今、この優待を持つ理由はあるか
- あわせて読みたい
- まとめ
今の優待:6月末・12月末に電子チケット
| 保有株数 | 1回あたり | 年間(2回) |
|---|---|---|
| 100〜299株 | 2,000円分 | 4,000円分 |
| 300〜499株 | 5,000円分 | 10,000円分 |
| 500〜999株 | 8,000円分 | 16,000円分 |
| 1,000株以上 | 17,000円分 | 34,000円分 |
- 基準日:6月末日と12月末日の年2回。保有期間の条件はありません
- 形式:株主優待券(電子チケット)。スマホで使えるほか、届いた紙のままでも使える
- 使い方:税込価格から、額面の範囲で1円単位で割引。各種割引券との併用も可
- 使える店:すかいらーくレストランツ(ガスト・バーミヤン・しゃぶ葉・ジョナサン・夢庵など)、ニラックス(一部除く)、トマトアンドアソシエイツ、資さんうどん(一部店舗を除く)
- 使えないもの:売店商品、宅配、通販。現金との引き換えと釣り銭もなし
- 発送:6月末分は9月中旬、12月末分は3月中旬
- 有効期限:約1年(3月発送分は翌年3月31日、9月発送分は翌年9月30日まで)
スマホで使うと、残高や利用履歴、有効期限を画面で確認できます。そして残高を家族や友人にプレゼントしたり、家族で共有したりできます。優待品の転売やフリマアプリへの出品は禁止されています。
2020年の改悪:額面は半分前後に
2020年9月10日、会社は株主優待制度の変更を発表しました。2020年6月末基準までが旧制度で、12月末基準から新制度です。
| 保有株数 | 改悪前(年間) | 改悪後=現在(年間) | 減り方 |
|---|---|---|---|
| 100〜299株 | 6,000円分 | 4,000円分 | −33% |
| 300〜499株 | 20,000円分 | 10,000円分 | −50% |
| 500〜999株 | 33,000円分 | 16,000円分 | −52% |
| 1,000株以上 | 69,000円分 | 34,000円分 | −51% |
新型コロナで外食が大きく落ち込んだ年の発表でした。翌9月11日の株価は前日比9.68%安の1,521円で引けています。
表をよく見ると、減り方は株数で違います。300株以上はほぼ半分になったのに、100株だけは3分の1の減少で済んでいます。改悪の痛みは、たくさん持っていた株主ほど大きかったということです。これは後で書く「100株がいちばん濃い」という話につながります。
6年間で変わったこと、変わらなかったこと
| 項目 | 2020年(改悪直後) | 2026年 |
|---|---|---|
| 額面(100株・年間) | 4,000円分 | 4,000円分(変わらず) |
| 形式 | 株主様ご優待カード | 電子チケット(紙のままでも可) |
| 使える単位 | 500円単位、釣り銭なし | 1円単位 |
| 家族との共有 | ― | 残高のプレゼント・共有ができる |
| 使える店 | すかいらーくグループ | +資さんうどん |
| 株価 | 1,521円(2020年9月11日) | 3,171円(2026年9月下旬) |
変わらなかったのは額面だけで、使い勝手はかなり良くなりました。
とくに大きいのが、500円単位から1円単位への変更です。たとえば会計が1,380円のとき、旧カードは500円単位なので1,000円までしか使えず、残りの380円は現金で払っていました。今は1,380円まで全額を優待で払えます。額面4,000円を、端数を残さず使い切れるようになったということです。額面は改悪のまま、使い勝手は改良。この6年はそういう6年でした。
利回りは6年で3分の1近くに
※この章の株価だけ、2026年9月下旬の終値3,171円を使っています。株価は毎日動くので、判断するときはご自身で確認してください。
| 時点 | 株価 | 100株の投資額 | 100株の年間優待 | 優待利回り |
|---|---|---|---|---|
| 改悪前(2020年9月10日) | 約1,684円 | 約16.8万円 | 6,000円分 | 約3.6% |
| 改悪直後(2020年9月11日) | 1,521円 | 約15.2万円 | 4,000円分 | 約2.6% |
| 2026年9月下旬 | 3,171円 | 約31.7万円 | 4,000円分 | 約1.3% |
※改悪前の株価は、翌日の終値1,521円と下落率9.68%から逆算した値です。
改悪で3.6%が2.6%になり、そのあと株価が約2.1倍になって1.3%まで下がりました。利回りを下げたのは、改悪そのものより、その後の株価の上昇のほうでした。 額面が据え置きのまま株価だけが上がれば、利回りは自然に下がります。
それでも100株がいちばん濃い
| 保有株数 | 年間優待 | 1株あたり | 優待利回り |
|---|---|---|---|
| 100株 | 4,000円分 | 40円 | 1.26% |
| 300株 | 10,000円分 | 約33円 | 1.05% |
| 500株 | 16,000円分 | 32円 | 1.01% |
| 1,000株 | 34,000円分 | 34円 | 1.07% |
1株あたりで見ると、100株が年40円で最も濃く、300株以上はどこも30円台前半です。改悪のとき100株だけ減り方が小さかったので、今の制度は100株に寄せた形になっています。優待を目的にするなら、100株以外を選ぶ理由はほとんどありません。
配当は無配から27円へ
| 決算期 | 年間配当 |
|---|---|
| 2021年12月期 | 12円 |
| 2022年12月期 | 0円(無配) |
| 2023年12月期 | 7円 |
| 2024年12月期 | 18.5円 |
| 2025年12月期 | 22円 |
| 2026年12月期(予想) | 27円(中間10円・期末17円) |
2022年は無配でした。そこから4年で27円まで戻り、2026年は8月に26円から27円へ引き上げられています。配当の方針は、調整後の当期利益に対して配当性向約30%です。
100株なら配当は年2,700円(約0.85%)。優待4,000円分と合わせて6,700円、合計利回りは約2.1%です。この銘柄は今でも優待が配当を上回っています。配当が優待の6.7倍だった大塚ホールディングスとは逆で、すかいらーくは優待が主役の銘柄です。
業績:既存店が伸びて上方修正
| 決算期 | 売上収益 | 営業利益 | 純利益 |
|---|---|---|---|
| 2024年12月期 | 4,011億円 | 242億円 | 140億円 |
| 2025年12月期 | 4,578億円(+14.1%) | 300億円(+23.9%) | 167億円 |
| 2026年12月期(8月の修正予想) | 5,000億円(+9.2%) | 350億円(+16.8%) | 205億円(+22.4%) |
2026年12月期の中間は、既存店の売上が前年比106.4%と好調で、客数と客単価がともに伸びました。売上収益は2,425億円(+9.7%)、営業利益は169億円(+20.9%)。これを受けて8月13日に通期予想を上方修正しています。店舗数は2026年6月末で3,214店です。
一方で、原材料価格の高騰で売上総利益率はわずかに下がり、新規出店や業態転換で人件費も増えています。予想PERは37倍前後で、利益の伸びをかなり先取りした株価です。株価がさらに上がれば、優待利回りはもっと下がります。
12月28日までに買えば3月に届く
保有期間の条件がないので、2026年12月28日(月)の権利付最終日までに100株買えば、2027年3月中旬に2,000円分が届きます。有効期限は2028年3月31日です。
この点は、今回の12月シリーズで取り上げた継続保有型の銘柄とは違います。ヤマハ発動機やヒューリックは12月28日に買っても何年か待ちますが、すかいらーくは次の3月にもう届きます。
保有期間の条件がない人気優待なので、つなぎ売り(クロス取引)で取る人も多い銘柄です。ただし一般信用の在庫は早く埋まりやすく、12月末の制度信用は年末年始をまたぐため逆日歩が最大5日分かかる見込みです。この記事はクロスを勧めるものではありません。
今、この優待を持つ理由はあるか
数字だけで見ると、答えは厳しくなります。100株の優待利回りは約1.3%で、改悪前の3分の1近く。配当を足しても約2.1%です。利回りを探している人には、6年前ほどの魅力はありません。
ただ、改悪直後にはなかったものが2つあります。1つは使い勝手です。1円単位で使えて、家族と残高を共有できるので、ガストや資さんうどんをよく使う家庭なら、年4,000円分がほぼ現金と同じように消える優待になりました。もう1つは業績と配当の回復です。無配から27円まで戻り、既存店も伸びています。
つまりこの優待は、利回りで選ぶものから、よく使う店があるかで選ぶものに変わりました。グループの店を月に1回以上使うなら年4,000円分は確実に使い切れますし、ほとんど行かないなら1.3%は他の銘柄で取れる数字です。私自身は、株価がこの水準のまま12月を迎えるなら、自分がどれくらいグループの店を使っているかを数えてから決めるつもりです。
あわせて読みたい
優待の電子化はほかの銘柄でも進んでいます。その流れは株主優待の電子化が進んでいますで整理しています。
同じく電子チケットになり、1円単位で使えるようになった外食の優待に物語コーポレーション(3097)の株主優待があります。
優待を家族や友人が使えるかどうかのルールは、株主優待は本人以外も使える?で整理しています。
まとめ
- 優待は6月末・12月末の年2回、100株で年4,000円分の電子チケット。保有期間の条件なし
- 2020年の改悪で額面は半分前後に。 100株は6,000円→4,000円(−33%)、300株以上はほぼ半減
- 6年たっても額面は戻っていない。 変わったのは使い勝手:500円単位→1円単位、電子化、家族で共有、資さんうどん追加
- 株価は改悪直後の1,521円から約2.1倍。100株の優待利回りは3.6%(改悪前)→2.6%(直後)→約1.3%(今)
- 1株あたりでは100株が年40円で最も濃い。優待目的なら100株
- 配当は2022年の無配から27円予想まで回復。今も優待が配当を上回る「優待が主役」の銘柄
- 既存店好調で8月に上方修正。ただし予想PERは37倍前後
- 12月28日(月)までに買えば、2027年3月中旬に届く
※この記事は公式の開示資料と公開情報をもとに整理したもので、投資を勧めるものではありません。改悪前の株価は翌日の終値と下落率からの逆算です。優待の内容は変更されることがあるため、必ず会社の発表と証券会社の情報をご確認ください。
出典
- 株式会社すかいらーくホールディングス「株主優待制度の変更に関するお知らせ」(2020年9月10日)
- 株式会社すかいらーくホールディングス 株主優待ページ、株主優待の電子化に関する案内(2025年9月発送分から)
- 株式会社すかいらーくホールディングス「2026年12月期 第2四半期(中間期)決算短信」(2026年8月13日)
- 改悪発表翌日の株価:マネーポストWEB(2020年9月)
- 株価・配当データ:2026年8月〜9月下旬時点の各証券情報サイト