株主優待といえば食事券や自社製品ですが、暗号資産をもらえる銘柄が出てきました。ビットコイン、イーサリアム、XRP。いずれも自社グループが暗号資産事業を持っている会社です。
新しい試みとして注目されますが、条件を確認すると共通の落とし穴がありました。
目次
- 3銘柄の内容
- 共通点は「口座がないと受け取れない」
- 金額の主役が暗号資産ではない銘柄も
- 条件が動きやすいジャンルです
- まとめ
3銘柄の内容
| 銘柄 | 暗号資産 | 必要株数 | 権利確定 |
|---|---|---|---|
| 6574 コンヴァノ | ビットコイン | 1,000株以上 | 3月末・9月末 |
| 3696 セレス | イーサリアム+ジパングコイン | 100株以上 | 12月末 |
| 4765 SBIグローバルアセットマネジメント | XRP | — | 3月末 |
コンヴァノはネイルサロン「FASTNAIL」を運営する会社で、子会社が暗号資産事業を持っています。セレスはポイントサイト「モッピー」の運営会社で、子会社マーキュリーが暗号資産販売所「CoinTrade」を運営しています。
共通点は「口座がないと受け取れない」
暗号資産の優待に共通するのが、受け取り用の口座が必要だという点です。株を持っているだけでは届きません。
セレスの場合、対象は12月末時点で100株以上を保有し、かつ「CoinTrade」で株主本人名義の口座を開設している株主です。暗号資産はその口座に入金される仕組みなので、口座がなければ受け取れません。本人確認の手続きが必要なので、権利日の直前に慌てても間に合わない可能性があります。
コンヴァノはビットコインの受け取りにエントリー手続きが必要です。会社は、エントリー締切を過ぎた場合は当期の付与を受け取れず、次回の基準日以降を待つことになると明記しています。
そしてセレスには、他ではまず見ない制限があります。CoinTradeの口座は18歳未満および80歳以上は開設できません。年齢によっては株を買っても優待の対象になりません。未成年口座や高齢の親名義で優待を集めている人には直撃します。
金額の主役が暗号資産ではない銘柄も
コンヴァノは「ビットコインがもらえる優待」として話題になりましたが、金額の内訳を見ると印象が変わります。
1,000株の場合、ビットコインは1,000円相当。これに対してFASTNAILのネイル無料券が6,500円相当です。優待価額の約87%はネイルのほうでした。
この優待券は2026年3月に「割引券」から「無料提供券」へ変更され、年間の優待価額が各区分で9,000円相当から45,000円相当まで増額されています。会社は変更の狙いを、暗号資産への関心の有無にかかわらず幅広い株主が使える実店舗優待を加えることだと説明しています。
つまり実態は「ネイルサロンの無料券が主役で、ビットコインが話題づくり」という構造です。暗号資産という言葉だけで判断すると、中身とのギャップに驚くことになります。
条件が動きやすいジャンルです
もうひとつの共通点が、条件の変わりやすさです。
セレスは2025年12月権利分から「300株以上」の区分が新設され、100株以上299株以下の優待価額が10,000円相当から5,000円相当へ半減しました。コンヴァノも2026年3月に優待券の内容が変更されています。
暗号資産は価格変動があるため、優待の設計そのものが動きやすい面もあります。セレスもコンヴァノも、受取時点の相場によって円換算の価額が変わると案内しています。「5,000円相当」と発表されていても、振込時にいくらになっているかは分かりません。
コンヴァノは会計上の注記も出していて、株主優待負債を公正価値で認識し、贈呈時に保有するビットコインの帳簿価額との差額を損益として表示する場合があるとしています。優待そのものが業績に影響しうるという、他にはない設計です。
まとめ
暗号資産の優待は、中身が新しいぶん条件も特殊です。整理するとこうなります。
- 受け取りに専用口座やエントリー手続きが必要。株を持っているだけでは届かない
- 年齢制限がかかる銘柄もある(セレスは18歳未満・80歳以上が対象外)
- 金額の主役が暗号資産ではない銘柄もある(コンヴァノは87%がネイル券)
- 受取時の相場で円換算額が変わる
- 条件の変更が頻繁
暗号資産に興味があるかどうか以前に、条件を満たせるかどうかを先に確認したいジャンルです。口座開設には時間がかかるので、狙うなら権利日のかなり前から準備を始めてください。
※本記事は公開情報を整理したもので、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。優待条件は執筆時点で公表されている情報に基づいています。購入前に必ず最新のIR情報をご確認ください。